1967年にクロード・ノブスがモントルー市の活性化を目的に始めた「モントルー・ジャズ・フェスティバル」は、その名の通り、多くのジャズ・アーティストが集まるとともに、近年、ロック、ポップス界の人気アーティストから、ワールド・ミュージックのスーパー・スターまで、多岐のジャンルにわたるアーティストが世界中から参加する「ジャズ・フェスティバル」の枠に収まらない規模に成長しています。
16日間のフェスティバルでは、 130以上のライブ公演が行われ、24万人の観客が集まります。メイン会場での有料コンサートとともにホテル、レマン湖畔の遊歩道や公園での無料コンサート、更には参加ビッグアーティストによる音楽ワークショップなど、毎年多彩なプログラムを展開し多くの人々を魅了しています。
日本開催事務局では、「音楽の力で、日本を元気にする!」をスローガンに、この「モントルー・ジャズ・フェスティバル」の日本開催を計画してまいりました。
川崎で行う事を考え始めたのは、川崎市民で現運営委員長である宮本浩巨が、「自分のホームタウンである川崎市で、モントルー・ジャズ・フェスティバルを行いたい!なぜ川崎なのか?」をクロード・ノブスの代理人であり、日本開催事務局長の私に幾度となく熱心に説明をし、多くの川崎市民の協力を得ながら「モントルー・ジャズ・フェスティバルを我がまち川崎に!」と草の根的な活動を行った事がきっかけです。また、まだ日本ではあまり知られていないモントルー・ジャズ・フェスティバルを様々な形で川崎市に紹介してくれました。まさに、スイスでの1回目のように、市民の手によって生まれた小さな芽を「産・官・学・民」の相互協力の下で何年かかけて大きく育てようと、継続開催を目指して2010年の11月に実行委員会が発足したのです。
2010年に国際化された羽田空港に近い川崎市は、かつての京浜工業地域の面影を残しながらも、最先端技術を研究開発する企業が集まることでも知られ、今、世界に向けた様々な情報発信基地として注目されています。また、「音楽のまち かわさき」を掲げ、音楽をはじめとする教育・文化・芸術の振興にも熱心で、市内には音楽ホールが充実し、洗足学園音楽大学、昭和音楽大学など音楽教育の場も整っています。川崎市民の音楽活動分野はクラシック、ジャズ、ポップスと幅広く、全国各地の郷土芸能やアジア、世界の民族音楽にかかわるものまであって実に多彩です。
市民ばかりでなく、企業オーケストラが活動したり、二つの音楽大学が地域に根ざした取組みを展開したりしているのも川崎の大きな特徴と言えるでしょう。国内外で活躍する音楽家も数多く輩出しています。なにより重要だったのは、市民が音楽を学ぶ、楽しむという基盤がしっかりとあり、すでに自主的な音楽活動が盛んに行われていること、町のあちこちで音楽が演奏され、町全体でフェスティバルを盛り上げられる勢いがあったことです。
私たちは、創始者クロード・ノブスの夢でもある「世界中にジャズを含むジャンルを超えた音楽を、MJFのブランドで花束のように届けたい」という想いと同時に、モントルー・ジャズ・フェスティバルを日本でも体験できる環境を作り、モントルー・ジャズ・フェスティバルに触れた人々が、もっと音楽を好きになってほしい、もっと音楽を勉強することが楽しくなってほしい、さらには、日本の才能のあるミュージシャンを海外に紹介したいという思いで開催を計画してきました。そういう場を私たちが市民の皆さんと一緒に創ることができれば、これほどに嬉しいことはありません。
しかし、3月11日に発生した「東日本大震災」により、会場として予定していたミューザ川崎シンフォニーホールの天井の崩落、スポンサーのキャンセル、福島原子力発電所の被災による報道などの影響もあり、中止も視野に入れた議論を何度も重ねて参りました。
そして、時間はかかりましたが、このような時だからこそ、「産・官・学・民」が相互に協力しあい、日本全体の復興も考えて開催するのが、本来の私どもの開催趣旨や目的であるという結論に達しました。今年の7月には、阿部孝夫市長をはじめ、川崎市議会議長、川崎商工会議所会頭、洗足学園音楽大学、昭和音楽大学の学部長が揃ってスイスのモントルー・ジャズ・フェスティバルを視察してくださいました。クロード・ノブスとお引き合わせする役目も重要でしたが、教育的、文化的な視点で音楽の融合を考えている責任者と活発な意見交換もしていただき、私自身も大変嬉しく思いました。
川崎市、川崎市文化財団、洗足学園音楽大学、昭和音楽大学には感謝の気持ちで一杯です。また、多くの名士・企業・市民が賛同し、応援してくださった事で、小さくとも最初の一歩を踏み出すことができたのです。
また、この趣旨に賛同して集まってくれた国内外のアーティストたちにも厚くお礼を申し上げます。すでに世界的に活躍しているトップアーティストや、これから世界に向けて活躍が期待される才能ある若手アーティスト、ここでしか見ることができないスペシャルバンドや国内アーティストと海外アーティストの夢のコラボレーションも実現しました。アーティストそれぞれが、今の日本に向けての想いを、音楽という世界共通の言葉を使って表現してもらえれば嬉しいです。彼らが紡ぎ出す音の力を信じていますし、それは必ずや次の世代に繋がっていくものとなるでしょう。(出演アーティスト詳細は、こちら)
大きな自然災害がおき、日本はいま意気消沈しているかもしれません。そんな風潮を吹き飛ばすような、皆が楽しめるフェスティバルを共に創っていきたいと思っています。次の世代に残していく事、それは夢や希望です。 『MJFJかわさき』が、世界各地からのミュージシャンや観光客の集まる国際交流の場となること、また日本の「新たな才能」を発掘・育成・発信していく場所となることを目指しています。 第1回は「出演アーティストによるワークショップ」を洗足学園音楽大学と昭和音楽大学にて無料で行いますので、多くの学生に参加してほしいと思っています。また、市民参加型のイベントとして、川崎市内各地で「フリーライブ」や多くの「関連イベント」も行います。来年は、ジャズ・ボーカルとソロピアノのコンテストを予定しており、優勝者にはスイスのモントルー・ジャズ・フェスティバルの予選出場権が与えられます。モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン・イン・かわさきを通して、少しでも日本が明るく元気になる事を切に願っています。
モントルー・ジャズ・フェスティバル日本開催事務局長
モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン・イン・かわさき実行委員会
実行委員長 酒井 捷八
